リスティング広告には様々な指標があります。表示回数やクリック数、コンバージョン数など。いろいろな数字が羅列されていて、とても複雑ですよね。
リスティング広告の指標について、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。一度ご覧ください。
>>リスティング広告の指標について。表示回数、クリック率、コンバージョン…とは?
今回は、その中でも「品質スコア」についてご紹介していきます。
品質スコアはその決定方法や仕組みが特に複雑なので、広告運用者の方でもおろそかに考えてしまっているケースは少なくないのではないでしょうか?
しかし、品質スコアを気にすることがリスティング広告を成功させるための大きなポイントといっても過言ではありません。広告のクリック単価に影響してくる部分なので、しっかりと把握しておく必要があります。
品質スコアとは
品質スコアというのは、「広告全体の品質」を表す数字です。アカウント内で設定されているキーワード毎に1〜10の10段階でスコアが振り分けられています。
Google Adwordsであれば、広告管理画面の「キーワード」タブを開いていただければ品質スコアを確認することができます。品質スコアが表示されていない場合、表示項目の中から品質スコアを選択して表示させることができます。
広告全般の品質を保証する数値なので、「広告アカウントを育てる」といった感覚の強い人は品質スコアを特に気にされているかもしれませんね。運用の成果を示す数字ではありませんが、しっかり管理されているアカウントは品質スコアが高くなっている傾向にあります。
品質スコアを決定する主な要素
品質スコアはしっかりとした基準を元に決定されています。
- 登録キーワードと広告の関連性
- 推定されるクリック率
- ランディングページ(広告の飛び先ページ)の利便性
の3つの要素を元に決定されています。この3種類の要素をしっかりと押さえておけば品質スコアを向上させることができます。
つまり、品質スコアというのは、「ユーザーが求めている情報と広告がどれだけ関連しているのか」を表す数字です。関連性が高い広告はユーザーからの利便性が高くなるので、優位性が高くなりますね。
では実際に、どの要素をどのように修正していけば品質スコアを向上させることができるのか、確認していきましょう。
登録キーワードと広告の関連性を確認
検索連動型広告は、登録したキーワード毎に広告が表示されますね。その登録キーワードと広告がどれだけ関連しているのか、というのが品質スコア決定の一つのポイントとなっています。
しかし、そのキーワードの登録方法は様々です。
- 完全一致
- フレーズ一致
- 部分一致
- 絞り込み部分一致
など。それぞれを組み合わせてキーワードを登録するケースもありますね。それぞれのマッチタイプで獲得できる検索クエリは違ってきますよね。獲得できるクエリがその都度違ってくるのに、キーワードとの関連性を見るってできるんでしょうか。
実は、広告とキーワードの関連性を見られる時にはどのマッチタイプで登録していても「完全一致」として計測されます。その登録キーワードが完全一致で表示された時の関連性を見られます。
広告文に登録キーワードを含める
関連性を高めるための最初の一歩は、広告文に登録キーワードを含めることです。
そこで、ただ単に広告文にキーワードを詰め込めばいのか?というとそうではありません。キーワードを無理やり詰め込んだ広告文は不自然なものになってしまう可能性がありますね。
ここで広告文との関連性というのは、登録キーワードとの関連性というよりは「検索されるキーワードとの関連性」と捉えるべきかもしれません。登録キーワードを意識しすぎるあまり、どうしても広告文の最初にキーワードを入れようとして広告の本来の効果が発揮できない場合があります。
そのため、ユーザーが検索しているキーワードを想像し、そのユーザーが興味を持ってくれそうな広告文を作成する。その結果、登録されたキーワードが広告文に入る。
といった流れが適切な広告文とキーワードの関連性を高める方法かもしれませんね。
ユーザーの検索意図を意識した広告文を作る
では、ユーザーの検索するキーワードに合わせた広告文とはどのようなものなのでしょう。ここでは時計の通販を例に挙げてみましょう。
あなたはニクソンという時計を販売しようとしています。そこで、ニクソンを販売するページへと繊維する広告を作成します。一般的に考えられるのは、「ニクソン 通販」などのキーワードですね。このサイトで購入できますよ!という広告を表示してあげれば効果的にユーザーを誘導できるかもしれません。
しかし、中には「ニクソン 価格」と調べるユーザーもいるかもしれません。価格を確認してから購入に踏み切ろうとしているユーザーですね。そのユーザーに対して、ここで購入できますよ!といったニュアンスの広告は適切でしょうか?
そのようなユーザーに対してはニクソンの価格をこのサイトで調べられますよ!といったニュアンスの広告文の方が適していますね。価格をわかりやすく表示して、その価格が適正であることをアピールするサイトへと誘導してあげる必要があります。
広告とキーワードの関連性だけではなく、その先のランディングページにも関連性を持たせましょう。
ここで感じられるかもしれませんが、広告文とキーワードの関連性を高めるということは広告のクリック率にもつながります。
広告の推定クリック率を考慮する
広告の品質スコアを決定するもう一つの基準が「広告の推定クリック率」です。
ここで注意したいのが、推定クリック率というのは実際のクリック率ではありません。クリック率を向上させようとする場合、一番簡単なのは平均掲載順位を上げることですよね。入札価格を上げれば掲載順位は高くなりクリック率も高くなるかもしれません。
しかし、入札価格を上げているのでは平均クリック単価も高くなってしまっているので元も子もありませんね。クリック単価を下げる効果をもつ品質スコアのために、入札単価を上げているのでは結局のとこと平均クリック単価は上がってしまうでしょう。
推定されるクリック率とは
先ほどの話でわかるように、品質スコアを決めるクリック率というのは広告管理画面で確認できるクリック率ではありません。
実際に今登録されている広告が、登録されているキーワードで検索された時にどれくらいクリックされるのか。ということをアルゴリズム内で推測されています。それには、デバイスの違いなどの条件も加味されているようです。
しかし、広告表示オプションなどその他の広告フォーマットを利用したクリック率は加味されていません。広告表示オプションが影響を与えるのは、品質スコアではなく広告ランクですね。ここが勘違いされやすいので注意しましょう。
推定クリック率を上げるために
では実際に推定クリック率を上げるための方法を確認しましょう。
まず最初に気をつけるのが、何度もお話ししている「広告文に登録キーワードを入れる」ということですね。ここについてのご説明はもう大丈夫でしょう。
次に気をつけたいのが「広告文ではメリットを明確に表す」ということです。
その商材についての明確なデータを示せるのであれば、数字を用いた訴求は効果的かもしれませんね。人間は数字で物事を表現されると気になりますし、その効果を想像しやすくなります。しっかりとイメージさせることでクリック率の向上が見込めますね。
また、「差別化できる内容をタイトルに挿入する」ことも効果的です。
ユーザーは優柔不断です。同じような商材が他社からも販売されている場合、どうしても比較検討したくなります。その効果であったり、価格であったり…。ですから、広告文のタイトルでしっかりと差別化して上げることでクリック率の向上が見込めます。
クリック率の向上を目指すということは、登録キーワード、広告文の関連性を見ていかなければいけませんね。でも、実際にユーザーがしっかりと見るのは飛び先のランディングページです。
そうです、広告品質を考えるためには飛び先のランディングページ(飛び先ページ)も考慮してあげる必要があります。
ランディングページの利便性を向上させる
品質スコアを考える時、ランディングページ(飛び先ページ)の利便性を確認するのはとても重要です。利便性というのはどういうことかをしっかり考えてみましょう。利便性の高いランディングページとはどういったページでしょうか?
まず広告文、検索キーワードと関連しているページであることが必要となりますね。
あなたが時計を探していて「ニクソン」と検索しているのに、飛び先のページが「時計のブランド一覧ページ」だったらどうでしょう?時計という点は一致していますが、あなたが探しているのはニクソンです。ニクソンの専用ページを見れた方がいいですよね。
このようなランディングページでは関連性が高いとは言えません。
ニクソンと検索されることが想定されているなら、登録キーワードも「ニクソン」であるべきですし、広告文もニクソンについての広告であるべきです。さらに飛び先もニクソンについての内容でなければいけませんね。
広告文が「時計」というキーワードになっていたり、飛び先が「時計」のページだと、あなたは便利なランディングページだと感じるでしょうか?
ユーザー行動を促進できているのか確認する
もう一つ考慮したいのが、そのランディングページはユーザー行動を適切に促進できているのか。という点です。
「ニクソン 通販」と検索したユーザーはその広告からサイトに入り、何をしたいのでしょう?きっとニクソンの腕時計を購入したいんですよね。商品名や価格を見たいだけではないと想像できます。通販、と検索していますからね。
そのような場合にはしっかりとユーザーが購入できる商品カートなどを設置しておきましょう。商品購入がしたい人には商品購入ができる仕組みを、モデル一覧を確認したい人のためには、一覧ページの設置を。それぞれのユーザーが欲しているものを提供してあげましょう。
サイト内の情報を見やすく設計する
ユーザーが必要としている情報をサイト内に設置するだけでは不十分です。その情報が見つけにくい場所に設置されていたり、わかりにくい内容になっているようでは利便性が高いとは言えません。
わかりやすく表示するというのは、何もパソコンからの見た目だけではありません。最近ではインターネット利用ユーザーのほとんどがスマホです。そのため、サイトをスマホで閲覧した時にもしっかりと内容がわかりやすいように設計することが重要です。
- レスポンシブでサイトを設計する
- メニューバーから遷移できる設計にする
- 開いたページ内にコンテンツを配置する
- アドセンスなどの広告が画面を占有しない
などなど。ユーザーが常に使いやすい設計を心がけましょう。
ランディングページの読み込み時間を短縮する
これは当然のことかもしれませんが、読み込みに時間がかかるサイトは利用していてイライラしますよね。あまりにも読み込みに時間がかかるようであれば、そのまま離脱してしまうかもしれません。
そのため、ランディングページの利便性を高めるためにはサイト自体の読み込み時間にも気を配りましょう。サイトの読み込み時間を向上させるためにはサーバー側の設定、html、cssの見直しなど様々な要素がかかってくると思いますが、一つずつ見直していくことが大事です。
品質スコアを高めることによっての影響
これだけ品質スコアについて語ってきましたが、実際のところ品質スコアを上げることによってどのようなことが起きるのでしょう?「クリック単価(CPC)が下がりやしすくなる!」なんてことを聞いたことがある方もおられるかもしれませんが、実際にクリック単価は下がるのでしょうか?
ここでは品質スコアを上げたことによってどのような影響を受けることがあるのかを見ていきましょう。
平均掲載順位が高くなる
広告を掲載する時に重要視されるのは、広告の掲載順位でしょう。その掲載順位を争うために入札価格を調整し、その結果クリック単価が変動していますからね。品質スコアを向上させることによって、実は掲載順位が高くなる効果があるんです。
掲載順位というのは、広告ランクという指標で決定されています。広告ランクが高ければ高いほど掲載順位が高くなる(1に近付く)わけです。その計算方法は、
広告ランク=入札価格×品質スコア+その他の広告フォーマット(広告表示オプション等)
という計算で決定されています。
この計算式で、「入札価格」と「広告フォーマット」に変化がなかった場合を考えると、広告ランクを決定する要素は「品質スコア」になりますね。つまり、品質スコアを上げることで広告ランクが上がり、同じ入札価格でも掲載順位を高めることができるんです。
「1ページ目になかなか広告が表示されない」という方は、品質スコアの向上に努めてみると効果的かもしれませんね。
クリック単価を下げることができる
先ほどの広告ランクの計算式を見てもらえばわかるかもしれませんが、広告の品質スコアを向上させることによって実際のクリック単価を下げることができます。
先ほどは「入札価格」と「広告フォーマット」が変わらないという前提でお話をしましたが、「広告ランク」が変わらない例を考えてみればクリック単価が下げられる事が分かりますね。
広告ランクが変わらずに品質スコアが向上した場合、左右の数値を合わせようとするとクリック単価が下がる事が分かると思います。()の中に表示されている数値は例です。
広告ランク(600)=入札価格(100)×品質スコア(6)+広告フォーマット
広告ランク(600)=入札価格(60)×品質スコア(10)+広告フォーマット
となりますので、入札価格が下がることによって実際のクリック単価も減少します。クリック単価は広告運用を行う上で、広告費用に直結するため重要な要素となります。そのためにも品質スコアのチェックが必要ですね。
でも、品質スコアにこだわりすぎないようにしましょう
このように、品質スコアを向上させることで様々な影響があります。広告のパフォーマンスを上げるためには重要な要素となりますね。
しかし、品質スコアばかりを意識してしまい広告運用の本質を見失ってしまってはいけません。本来の目的は、リスティング広告によってユーザーに物を買ってもらうこと、サービスを提供すること…etcでしょう。
品質スコアというのは、広告を運用していく上で評価を確認するための一つの指標ですので、広告運用の目的がずれてしまわないように注意しましょう。
大事なのは、「ユーザーに対して利便性の高い広告運用を行った。その結果、品質スコアが向上する」という考え方ですね。品質スコアを最初に追い求めてしまってはいけません。ユーザーに対して利便性の高いものを作り出せるよう意識して運用しましょう。
品質スコアはその決定方法など難しい部分が多いですが、効果的な広告運用のためにも勉強していきましょう。
コメント