Web担当者の皆さんなら知っているでしょう、昨年のWelq事件。
DeNAが運営する医療系サイト「Welq」が他のサイトからコピーしたコンテンツを更新していたり、根拠の無い医学的論理を展開したりしていたためサイト閉鎖に追いやられました。
この結果を受け、
- コピーコンテンツなのに上位表示できるのか
- 根拠の無い記事でも大丈夫なのか
- 無理やり広告に誘導するサイトがユーザーファーストなのか
などの話題が上がり、この話題に対するようにGoogleの検索エンジンアップデートが施行されました。
それがフレッドアップデート、通称Welqアップデートと呼ばれるものです。
今回はフレッドアップデートとは何なのか?どのような内容なのか?どのように対処できるのか?そもそもフレッドアップデートは存在するのか?といった内容です。
サイトの品質を判断するアップデート
フレッドアップデートというのはサイトの品質を判断するアップデートです。
2017年2月頃からGoogle検索エンジンに特に大きな変動があったことで、Googleのゲイリー・イリェーシュ氏が
sure! From now on every update, unless otherwise stated, shall be called Fred
とTwitterに呟いたことで、2月頃の検索順位変動が「フレッドアップデート」と呼ばれるようになりました。
日本でも多くのサイト運営者がこのアップデートの影響を受け、「フレッドアップデートにやられた!」と大騒ぎになりました。あなたのサイトは大丈夫でしたか?
このアップデート・大変動を受け、Googleのアルゴリズム分析第一人者とも呼ばれるグレン・ゲイブ氏は「品質評価に関するコアアルゴリズムのアップデート」と判断しています。
その上で
- コンテンツの内容が浅く、低品質なサイト
- 広告過多のページで、無理やりアフィリエイトリンクへ誘導している金儲け目的のサイト
- ダウロードボタンに見せかけた広告など、粗悪なユーザー体験をもたらすサイト
- モバイル対応していない使いにくいサイト
などがフレッドアップデートの影響を受ける低品質なサイトであるとしています。英語圏のWebサイトではトラフィック(ユーザー訪問数)が90%も減少したサイトが存在するそうです。
低品質なコンテンツ
フレッドアップデートにより検索順位が下げられる一つの要因は低品質なコンテンツを更新しているサイトです。
コピーコンテンツや重複コンテンツなどはもちろんのこと、他者から購入したテキストを盛り込んでいるような大量生産型コンテンツも低品質なコンテンツとみなされる場合があります。
ユーザーの検索に対して適切な価値を提供できていないコンテンツが「低品質なコンテンツ」と判断されます。
金儲け目的のページ
フレッドアップデートではアフィリエイトサイトに大きな影響がありました。
アフィリエイトサイトは広告を貼って、その広告から流入したユーザーのアクションに対して売り上げが発生します。つまり、広告から多くのユーザーを誘導する必要があるんです。
となると、安直に考え
- 広告の数を増やす
- ページの見えやすいトップに広告を貼る
- クリックしやすい(ミスクリック)場所に広告を貼る
などの方法によりユーザーを誘導するサイトが現れます。
そういったサイトはユーザーに適切な価値を提供できているでしょうか?無理やり広告をクリックさせようとしているので、適切な価値を提供できているとは言えませんね。
ユーザーを騙すサイト
上の「広告過多ページ」に類似しますが、ユーザーを騙すような設計になっているページも検索順位が下げられます。
ダウンロードリンクに見えるような広告
ページナビと間違うような広告
写真一覧の中に紛れ込ませた広告
などを作成して、広告収入を得ようとするサイトの検索順位が下げられました。
ユーザーに対して粗悪な体験をさせると、検索エンジン全体の評価を下げられかねません。そのようなサイトばかり表示されているのでは、検索エンジンを使おうという人も減るでしょう。
Googleはユーザーに検索エンジンを利用してもらわなければいけないので、そのような粗悪なサイトは排除していきます。
モバイル対応していない
ユーザーはPCだけでWebサイトを閲覧するわけではありませんよね?
スマートフォンもあれば、タブレットもあります。最近では10インチ型のノートPCもありますね。様々な画面サイズのデバイスが販売されています。
画面サイズが異なるということは、それぞれに最適な表示をしてあげなければいけません。PC表示と同じものをスマホで見るのは見にくいですよね?字が小さすぎたり、ボタンが押しにくかったり。
そのようなWebサイトはユーザーのことを考えられているとは思えません。ユーザーが使いにくいサイトはGoogleも嫌います。
Googleはアップデートとして発表していない?
低品質なサイトに対して検索順位を下げるアップデート、それがフレッドアップデートと呼ばれていますが、実はGoogleは正式にフレッドアップデートの存在を認めてはいません。
今回の検索結果順位の変動は「常に実施している検索品質改善の1つである。」としか発表されておらず、アップデートが実施されたという事実はありません。
Google品質ガイドラインに関わる検索エンジンの改善であって、パンダアップデートやペンギンアップデートなどとは扱いが違っています。
発表していないし、全て把握できない?
フレッドアップデートに関して、Googleは存在を認めていません。しかし、そのアルゴリズムアップデートを否定することもしていません。
現在、検索エンジンは半自動的にアルゴリズムのアップデートを行なっています。頻繁に更新され検索順位の変動が起きています。
これだけ自動化されてきたので、Google自身も「○○という基準で検索順位が変更しました〜。」と発表するのが難しくなっているのではないでしょうか。検索エンジンを運営していますが、その全てを把握するのは不可能に近くなっていると思います。
AIが発達した現在、そして未来、Googleのアップデートはもっと”さらっと”行われるようになるかもしれません。
フレッドアップデートは、当たり前の変動
フレッドアップデートとされる変動により、影響を受けた低品質サイト。検索順位をガクッと下げられてしまうのは、サイト運営者からすればかなりの痛手です。
しかし、冷静に考えてみれば当たり前のこと。
コピーコンテンツやユーザーにとって価値のないコンテンツ、過剰な広告を貼ったページ、ユーザーを騙そうとしたり、使いにくい設計になっているページ。
そのようなページが検索順位上位に表示されること自体がおかしいのではないでしょうか?
Googleはユーザーに対してWebコンテンツによって有益な価値を提供するように促しています。それがSEO対策の本質です。
今回のフレッドアップデートで検索順位を下げられたサイトは、その指針に乗っ取っていなかったので順位を下げられて当然だとは思いませんか?そのような判断基準に対してビクビクしながらサイト運営を行なっていること自体が間違いです。
「フレッドアップデートで順位が落ちた!」
「次はうちのサイトかもしれない!」
「フレッドで落ちたけど、復帰できるかな!?」
なんて騒ぐということは
「今まで、低品質なサイト運営を行なってきました。コンテンツを考えず、ユーザー体験を促進していませんでした。」
と発表しているようなことです。
※フレッドアップデートの際にはGoogleのミスもあり、健全なサイトも検索順位を下げられたケースがあるようです。
健全なサイト運営を心がける
フレッドアップデートは正式に発表されているアップデートではありません。ですが、検索結果に何かしらの変動があったことは明らかです。
低品質なサイトが検索順位を下げられているのは当たり前です。だからこそ、健全なサイト運営を行なっていきましょう。
フレッドアップデートで順位が上がる
弊社で運営しているサイトの中には、フレッドアップデートを受けて順位が向上しているサイトもあります。
地道なコンテンツSEOを行なっているサイトで、リスティング広告の出稿も行なっていませんし、SNSアカウントもありません。本当にコンテンツ(ページ追加)だけでSEO対策を行なっていたサイトです。
コンテンツの追加だけでSEO対策を行なっていたので、サイト運営開始から半年ほどはほとんどアクセスが集まりませんでした。多い時でも1日に100セッション程度。
運営から半年経つ頃には主要キーワードで検索結果上位(1位〜3位)を獲得することができていたので、それなりの結果を出せていたんです。
しかし、主要キーワード(Bigキーワード)だけではなくミドルキーワードやロングテールキーワードでの集客も行なっていかなければいけなく、新しいコンテンツ追加を試行錯誤していたところでした。
このタイミングでフレッドアップデート。
しかし、周囲のサイト運営者が検索順位が下がったと騒いでいる中、弊社運営のそのサイトは検索順位が全体的に向上していました。
Googleサーチコンソールの結果を見ると、全体的に検索順位が向上。それに伴いアクセス数もグッと伸びていました。
アフィリエイトサイトなので広告を貼っていますし、デザイン性が良いサイトとも言えません。WordPressのテンプレートをそのまま使用しているような状態です。それでもアクセス数は向上。
フレッドアップデートが起きたことで、検索順位の下落に怯えているサイト運営者は多いかもしれません。しかし、検索順位が落ちたサイトがあるということは上がっているサイトもあるということです。
本質的なSEO対策が必要になる
今までアップデートの発表があるたびに自サイトの修正を行なっていたWeb担当者の方もおられるかもしれませんね。しかし、今回のフレッドアップデートはそのような修正で対応することができません。
コンテンツの質、ユーザー体験など本質的な部分を見られているので、軽微な修正では状況改善が難しいでしょう。
フレッドアップデートが起きたことによって、小手先のテクニックだけでSEO対策はできなくなったと言えるかもしれません。
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